18.知っておきたい生産のスタイル 「生産活動とは原材料を機械にかけることではない。それは論理を仕事に適用することである。正しい論理を明快かつ一貫して正しく適用 するほど物理的な制約は除去され、機会は増す」     −『現代の経営(上)』P.131 商品を生産するときは、当然、そのしくみから考えなければならない。新しい商品を提供するとき、どんなしくみをとるのか。その判断は トップの仕事だ。 ☆商品にはそれぞれに相応しい作り方がある  生産システムは、設備投資や流通体制などにもかかわってくる経営的なテーマ。現場にプレッシャーをかけて生産性アップをめざす経営 者は意外に多い。だが、それは間違っている。商品にはその性質によって、もっとも相応しい生産体制がある。そのしくみを論理的に検討 し、結論を合理的に適用することが、最も生産性を高める近道だ。代表的な生産システムには@個別生産、A大量生産、Bプロセス生産の 3つがあり、それぞれについてよく知っておけば、最も相応しい生産システムを選んだり、カイゼンのポイントを的確に発見することがで きる。 @個別生産  ・オーダーメイドによって商品をつくる生産方式  ・段階ごとに仕事が完結する                 ⇒  ◇経営者の役割  ・作業員は、その段階で必要とされる技能をすべて習得している      新規注文を取ってくること  ・作業員は、前後の生産段階の作業はほとんど関知しない  (例)船舶、家屋、高層ビルなど  A大量生産  ・本質は「つくる」のではなく「組み立てる」  ・同じ商品を大量につくりあげる  ・商品ではなく部品による在庫が可能  ■硬直的な大量生産                     ⇒  ◇経営者の役割   ・道具、材料、部品がすべて規格化されている             大量の製品を売りさばく流通チャンネルの開拓   ・商品の均一性が最も重要   (例)iPhone、ネジなどの部品  ■柔軟な大量生産   ・なるべく少ない規格部品で最大限の商品バリエーションを生み出す   (例)自動車、清涼飲料水、カスタムパソコンの販売 Bプロセス生産  ・工程全体が1つの生産システムであり、段階はなく、分離できない  ・工程に柔軟性がないため固定費が高い  ・損益分岐点が高いと赤字に陥りやすい  ・ただし、うまく稼動するとシステムの限界まで生産性は上がり続ける  ・より多様な商品を大量に生産できる  ■装置生産                         ⇒  ◇経営者の役割   ・原材料が装置を通過すると、様々な商品が生まれてくる        多数の商品群を受け止める市場を創造・拡大する   (例)ミルク工業、化学工業など  ■流れ生産   ・高度に規格化された部品によって硬直的に大量生産を行う   ・フロー作業とオートメーションによってコストと時間を削減できる   (例)プレハブ住宅の建築、機械化された生産レーン、宅配システムなど